こんにちは。兵庫県明石市の二天堂魚住鍼灸院院長の宮上智志です。
みなさんお身体の調子はいかがですか? お悩みの症状について、整形外科などで画像診断しても原因が分からない。マッサージに行ってよくならない。そんなとき、鍼灸って効くのかなぁと考えたことはありませんか?
そんな症状の改善に鍼灸治療が効果を発揮するお勧めのポイントを、現役の鍼灸師がこの記事にしました。参考にしていただければ幸いです。
鍼灸治療の優れた効果５選
①鍼灸刺激で治癒プロセスが加速する
ヒトの身体には病気やケガを自分で治す自然治癒力や、外から入ってくる病原体から身を守る免疫力が備わっています。傷害を受けるとそれらのシステムが働きだし、身体に様々な反応が起こります。例えば、血管を拡張させて酸素や栄養をたくさん含んだ新鮮な血液を呼び込んで新陳代謝を高めたり、異物と戦う白血球を呼び寄せて傷付いた部位から感染することを防いだりします。この過程で、患部に停滞していた発痛物質も洗い流されていきます。
【 血流の改善 → 免疫細胞の増加 → 炎症の抑制 】
②筋肉のコリや硬結を和らげる
長時間の同じ姿勢や特定の筋肉の使い過ぎによって凝りや筋硬結（きんこうけつ）が起こります。筋硬結では、筋線維が結合組織で固まり、硬くなった結節が形成されます。また筋を覆う膜組織の潤いが悪くなって、痛み、こわばり、可動域の制限、筋肉の腫れ、疲労感、筋力の低下などが起こります。また、筋硬結が神経や血管に圧迫を及ぼす場合、痛みやしびれ、血流の低下などのさまざまな循環障害が生じることがあります。こうした筋肉の症状には、鍼灸刺激が効果的です。
③鎮痛効果を発揮する
ヒトの身体には痛みを抑制する様々な仕組みが備わっています。痛いところを押さえたり擦ったりすると痛みが和らぐとか、気分が良くなることや楽しいことをしている間は痛みが気にならないなど、誰もが経験されているのではないでしょうか。鍼灸の刺激は、患部を支配する感覚性の神経や運動性の神経に双方向性に作用し、興奮は鎮静に。鎮静は興奮と本来の状態へ近づけるための誘導作用を果たします。また、鍼灸刺激は、脳にも作用して神経伝達物質の分泌を誘発します。これにより全身性に痛みを抑制する鎮痛効果を発揮します。
【 神経伝達物質の放出 → エンドルフィン（自然の鎮痛物質） → 鎮痛効果 】
④自律神経の活動を変化させ、恒常性維持機能が高まる
さらに、身体には皮膚や筋肉などに刺激が加えられると自律神経の活動が変化し、自律神経が支配する臓器・器官の働きが反射的に調節される仕組みも備わっています。鍼や灸の刺激はその仕組みを利用して自律神経活動を変化させ、血管の調節をしたり臓器の働きを良くしたりします。その結果、血圧が調節されたり、ホルモンバランスが整えられたり、免疫系が活性化したりなど全身性の広範な効果が引き起こされます。ですから、鍼灸治療を続けていると体調が良くなり、病気になりにくくなるのです。
【 神経系への影響 → 臓器・器官の働きを調節 → 免疫系が活性化 】
⑤薬を使わずに身体の治癒力を高める
鍼灸治療の効果によって、痛み止めや炎症を抑える薬を減らすことも期待できます。また、うつ病や気分の落ち込みの症状のある方でも、脳の機能を活性化させ、脳内の神経伝達物質セロトニンの分泌を増やすことがわかっています。
鍼灸の施術や適応疾患などについて詳しくまとめたページもございます。鍼灸とはの記事もぜひご覧ください。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、鍼灸治療の持ち味を５つ紹介しました。
働き盛りの世代はがんばり屋さんです。首や肩の慢性的な凝り、疲労感や睡眠不足など、生活の質にかかわる症状でお悩みの方が多いです。休日や仕事終わりの時間を利用して、マッサージや整体で身体をほぐしてもらったり、健康グッズやサプリメントを試したりした経験はありませんか?
私もサラリーマンとして働いていたときは、強揉み専門店に通わないとほぐれた気がしないカチカチの身体になったことがあります。そんなときに出会った鍼灸治療の効果は、本当に画期的でした。ポイント別効果でも触れましたが、身体のこわばりは関節の可動域を低下させます。また、気分の落ち込みは、頭を下げて猫背を誘発します。本人も気づかないうちに本来の姿勢を崩して、浅い呼吸や疲れやすい状態になっている悪循環もめずらしくありません。東洋医学は、病気の原因を身体活動のアンバランスだと考え、これを整える全体的な治療を行います。精神も含めて身体全体を一つのものとして捉える医学です。局所の治療にも全身性の治療にも、鍼灸治療の強みは発揮できます。現役鍼灸師として患者さんに施術する立場になって、多くの方にお勧めしたい医療技術です。これをきっかけに身体の内側から元気になって、心身ともにフレッシュになれる場所として鍼灸院を検討していただければ幸いです。
