こんにちは。兵庫県明石市の二天堂魚住鍼灸院院長の宮上智志です。
みなさんお身体の調子はいかがですか?現在、病院で検査を受けて治療中の方、経過はいかがでしょう?鍼灸院に来られる患者さんから、「病院を受診しても痛みがとれない」、「薬を服用しても症状がなかなか改善しない」などの声をよく耳にします。
そんな方にお勧めしたいのが、鍼灸治療です。現代医学だけは完治が難しい疾患はあります。それらの疾患の一部は、鍼灸適応疾患に含まれますので、補完・代替療法としての効果が期待できます。そこで今回は、鍼灸適応疾患について記事にしました。参考にしていただければ幸いです。
鍼灸適応疾患について
鍼灸の適応疾患については、海外から伝わった古典由来の記述も多く存在するので画一的ではありません。また、施術の方法も国や流派によって違いがあるので、治療効果の検証も治療家によって評価がわかれるところです。そこで、私がよりどころにするのは1997年に米国国立衛生研究所(NIH)により発表された見解です。【鍼灸に関する合意声明書と鍼灸療法の病気に対する効果とその科学的根拠を認める見解の発表】
NIHが、科学的根拠に基づいた鍼灸の効果の検証を進めている病気・疾患をまとめたもの
※(セイリン 健康にはり 鍼灸で見込める効果 https://kenkounihari.seirin.jp/)
【神経系疾患】
神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
【運動器系疾患】
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
【循環器系疾患】
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
【呼吸器系疾患】
気管支炎・喘息・風邪および予防
【消化器系疾患】
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
【代謝内分秘系疾患】
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
【生殖、泌尿器系疾患】
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
【婦人科系疾患】
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
【耳鼻咽喉科系疾患】
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
【眼科系疾患】
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
【小児科疾患】
小児神経症・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
他国でも、英国では2000年のBuritish Medical Journalにて英国医師会(BMA)が背部通や歯痛、嘔気や嘔吐、片頭痛に鍼灸が有効であると承認しました。また、近年では、術後疼痛や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、繊維性筋痛症への効果も評価されています。
鍼灸の健康保険の適応などについて詳しくまとめたページもございます。医療機関の使い分けと健康保険についての記事もぜひご覧ください。
まとめ
鍼灸適応疾患は、肩こり、腰痛、膝痛などの運動器疾患を頭に浮かべる方が多いと思いますが、実際には、自律神経やホルモンバランスの調節、血液循環など内科的な疾患にも有効です。また、痛みの症状以外にも、アレルギー性疾患など少なくとも50の健康問題に対して各機関で有効性が研究されています。このように現代医療の分野ではEBM(Evidence-Based Medicine:根拠に基づいた医療)という新しい研究手法が取り入れられ、鍼灸の分野でもEBMの手法に則って研究が進められています。その中には、鍼治療と西洋医学的治療の効果や有用性を比較した研究もあります。
鍼灸適応疾患の中には、医師がおこなう現代医学でも治療が難しい疾患も含まれています。そうした疾患の治療に、鍼灸治療を取り入れる医療機関もありますので覚えておいてください。東洋医学や鍼灸治療に理解がある医師が、医院に鍼灸師を配置している所もあります。鎮痛や薬の服用を減らす目的など、代替医療の役割を果たす事例もあります。鍼灸治療は副作用が少ないですから、生かしどころはたくさんあります。私の師匠である神戸市の二天堂鍼灸院の中野保先生は、「かかりつけの鍼灸師として」という表現をされていました。素晴らしいですね。