こんにちは。兵庫県明石市の二天堂魚住鍼灸院院長の宮上智志です。
みなさんお身体の調子はいかがですか?具合が悪くなったり、ケガをしてしまったら、病院、整骨院、鍼灸院どの医療機関にするべきかまず考えますよね。それぞれの医療の性質も違いがあるので健康保険が適応される条件も違います。そこで今回は、施術所ごとの性質と健康保険の関係について記事にしました。参考にしていただければ幸いです。
病院、整骨院、鍼灸院の使い分け
整形外科とは
医師が診察をし、高度な医療設備(レントゲンやMRI、CT等)の画像検査を行い、診断を行う医療機関のことです。 病名を確定させることができるのは医師だけです。 診断後、病態に合わせて処置、投薬、注射、手術、リハビリテーション等で治療を行います。
【医療機関は重症に対応できる】
医療機関では、救急の場合に手術や入院治療を行うことができるため、生死にかかわる治療を行うことができます。
- (急激な痛みと共に、呼吸困難、胸痛、意識の喪失、大量の出血、強いけいれんなど)
- (筋肉断裂や破裂、腱の損傷、骨折と併発した筋肉損傷、神経損傷など)。
- (筋肉の感染症や炎症(筋肉の膿瘍)
整骨院(接骨院)とは
柔道整復師が柔道整復施術を行う医療施設のことです。柔道整復師は、日本古来の武道から派生した日本独自の伝統医学が発祥です。柔術における活法(傷ついた者への治療法、手当て)の技術に、西洋医学の知識が取り入れられ発展しました。外傷による骨や運動器、軟部組織(筋・腱・靱帯など)の損傷に対し、手術や薬ではなく診察・徒手検査・整復・固定・後療と柔道整復師の「手技」により、人間のもつ自然回復力を高め、治癒に導きます。整骨院(接骨院)では、原因がはっきりしている急性の捻挫、打撲、筋挫傷といったケガの施術、骨折や脱臼の応急処置の場合に限って健康保険が使えます。同一箇所の施術は最長で原則3ヶ月~6ヶ月程度になります。保険の請求は本来、患者が保険者対して行いますが、委任状をもらって柔道整復師が代行して請求する受領委任という制度が使われています。
鍼灸院とは
はり師・きゅう師が鍼灸施術を行う医療施設のことです。鍼灸院は、肩こりや五十肩、関節痛、腰痛、慢性的な症状を治療する場所です。 また、神経系、運動器系、循環器系、消化器系、婦人科系、呼吸器系など、治療の対象となる疾患が多岐にわたるのが鍼灸の特徴です。はり師・きゅう師の場合、柔道整復師や医師のように、直接的な保険取り扱いではなく、医師の診察を受け、同意書にサインをもらわないと健康保険が使えません。また対象となる疾患も定められています。そして、鍼灸の施術を受けている期間は、同一病名での医療機関での保険診療は受けられないという制約があります。鍼灸院によっては、当院のように実費治療専門のところもありますので事前に確認が必要です。
鍼灸整骨院とは
柔道整復師と鍼灸師の資格を持つ者が施術する医療施設のことです。整骨院(接骨院)・鍼灸院で説明した通りの内容で、健康保険が扱えます。また、患者の症状や要望に合わせて鍼灸治療を取り入れることができます。
鍼灸治療の保険適応について
鍼灸治療が保険適応の対象となる疾患
- 神経痛 (坐骨神経痛、肋間神経痛)
- リウマチ (各関節が腫れて痛むもの)
- 腰痛 (ぎっくり腰なと゛)
- 五十肩 (肩関節の痛み・腕が挙がらないもの)
- 頸腕症候群 (首から肩・腕にかけて痺れて痛むもの)
- 頸椎捻挫後遺症 (むち打ち後遺症など)
- その他、痛みを伴う慢性疾患(腱鞘炎、膝関節痛など)
医師がはり・きゅうの施術について同意していること
医療機関において治療を行い、その結果、治療の効果が現れなかった場合等、はり・きゅうの施術を受けることを認める医師の同意がある場合です。また鍼灸同意書の交付後も鍼灸師が定期的に治療経過を報告することになっています。6か月を超えて引き続き施術が必要な場合は、再同意(文書)の交付が必要です。
医師が積極的に東洋医学や鍼灸治療を取り入れている病院
医師が互いに協力関係にある鍼灸院と連携して診察にあたります。あるいは病院のスタッフとして鍼灸師を配置してリハビリなどにあたっています。鍼灸の保険適応疾患でお悩みの方は、そうした病院で治療を受けながら相談してください。医師の同意書の発行に理解が得られる見込みがあります。
鍼灸治療をはじめたい方は、どんな条件をもとに治療院を選べばいいのか詳しくまとめたページもございます。はじめての鍼灸院の選び方についての記事もぜひご覧ください。
まとめ
厚生労働省の「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、柔道整復術を行う施術所は、全国で5万か所を超えています。(https://www.mhlw.go.jp/)
鍼灸整骨院はたくさんありますが、柔道整復術での健康保険の治療が主体になります。勤務する鍼灸師は、鍼灸に特化した時間や手間をかけた施術を、経験する機会は少ないということになります。
鍼灸院での鍼灸施術はほとんどが実費治療になります。2022年度の鍼灸の年間受療率は5.7%と報告されています。前年度比で1.3ポイント上昇していますが、依然として低い水準です。※(我が国における鍼灸療法の受療状況に関する調査。矢野忠ら)まだまだ誰もが治療を経験するほど一般化していません。しかし、ほんの少しずつでも「鍼灸治療の効果」を実感する患者さんも増えてきています。私の場合は、鍼灸整骨院で2年間勤務をして、鍼灸治療に専念したいと強く思いました。また、しっかりと技術を尽くして施術をしてほしいという患者さんの「鍼灸治療のニーズ」も痛いほど感じました。このような要望に応える技術を磨くために、二天堂鍼灸院(神戸市)院長の中野保先生に弟子入りしました。長く続く慢性的な痛みを何とかしたい。そんな症状でお悩みの方は、是非、鍼灸院を訪ねて下さい。他にも、マッサージや整体といった業態にも触れたいと思っていますが、別の機会とします。それまでお待ちください。