みなさんこんにちは。今回は、「ファシア(Fascia)とクリープ現象」について記事にします。人体におけるクリープ現象とは、弾力性のある組織が一定時間伸びた状態を維持すると、元に戻りにくくなる現象です。ファシア(Fascia)に含まれる靭帯や関節包、筋膜、椎間板など弾力性のある組織にあたり、ぎっくり腰や腰痛の原因としてクリープ現象が有力視されています。
全身のつながりに波及するクリープ現象
ファシア(Fascia)は、全身にある臓器を覆い、第2の骨格として注目されていることは、”ファシア(Fascia)とは“の記事で紹介しました。ファシア(Fascia)は全身につながっているため、クリープ現象は筋膜や関節周囲の組織にまで動きの悪さが波及し、痛みや筋力の低下、柔軟性の低下、運動パフォーマンスの低下、日常生活活動の低下などの症状を引き起こす可能性があります。
筋膜ではクリープ現象の原因として、次のようなことが考えられます。
- 非対称な姿勢や動作をとり続ける
- 同じ姿勢を長時間とり続ける
- 怪我などによって身体の一部に負担がかかる
- 水分の枯渇
- ストレス
- 筋肉の柔軟性の低下
クリープ現象を予防するには、次のような方法があります。
- 長時間腰を丸めて座らない
- 車の運転では休憩をとる
- 座る場合は腰の後ろにクッションを入れる
- しゃがみこんだ作業ではこまめに立ち上がって腰を伸ばす また、椎間板で起こるクリープ現象も腰痛の原因となります。猫背の姿勢を続けていると、椎間板の中にあるゼラチン状の「髄核(ずいかく)」が背中側にずれ、髄核を囲んでいる「線維輪(せんいりん)」という硬い組織に亀裂が生じて痛みを感じます。
ファシア(Fascia)をほぐすには、お風呂に入って体を温めながら身体を動かしたり、コリを押したりするのがおすすめです。摩擦をかけるようにすると熱によりさらに緩まりやすくなります。
ファシア(Fascia)を緩める運動について詳しくまとめたページもございます。筋膜ケアとはの記事もぜひご覧ください。
まとめ
東洋医学の診察方法の一つに 「望診(ぼうしん)」 があります。患者さんの姿や動作を診察します。それは、治療院の扉を開ける動作から始まり、スリッパに履き替える、歩く、椅子に腰を掛けるといった様子を観察します。これだけでも姿勢やバランス感覚、血色や息遣い、筋力など、たくさんの情報が得られます。ここで特に注目しているのが、姿勢です。猫背でないか、背中が曲がっていないか、膝は伸びているか。望診で、今回のテーマであるファシア(Fascia)のクリープ現象の気配を探っています。どの年代であっても長時間同じ姿勢でいると、身体の一部に負担がかかります。筋肉の柔軟性の低下も含めて、治療のポイントは患部の痛みだけでは収まりません。ファシア(Fascia)は、本来は水分を多く含み柔軟な基質ですが、異常が起こると粘土のような状態になることがあります。この状態を「癒着」や「ねじれ」などといい、全体の動きが悪くなってひずみやコリなどの不調を引き起こします。二天堂魚住鍼灸院では、全身の調整作用を高め、元気を引き出す治療を行います。具体的には、固有背筋の鍼施術です。単に肩こりや腰痛だけでなく、交感神経系の緊張の解放という重要な目的があります。筋肉や骨、関節を覆う組織にも鍼の刺激を送り込み、硬く柔軟性を失った組織を活性化することができます。東洋医学で身体活動のアンバランスを整える全体的な治療を行います。硬くなった身体を何とかしたい、最近疲れやすいなどの症状でお悩みでしたら当院へお越しください。