Blogメノポハンド、更年期の手指症状の正体を教えます

2024-11-20

  • 更年期の症状
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メノポハンド、更年期の手指症状の正体を教えます

みなさんこんにちは、二天堂魚住鍼灸院の宮上智志です。学校を卒業して鍼灸整骨院に勤務していたころ、手首や指の症状を訴える患者さんがいました。手指のこわばりやしびれの症状の他にも、手根管症候群やばね指などが多かったです。当時は、長年の使い痛みが原因だろうかと、患部の治療にばかり気を配りましたが、その背景には「メノポハンド」と呼ばれる更年期の関節痛があることを知りました。

メノポハンドとは

閉経前後から65歳前後までの間に女性の身体は、様々な変化が現れますが、手指のこわばり、関節の痛み、しびれなどの違和感を訴える人もこの期間に集中しています。これらは、更年期症状として、のぼせやほてりより多いそうです。女性ホルモンであるエストロゲンが急激に低下する。閉経前後から7~10年間の更年期に出現する手指の不快な症状を「メノポハンド」と呼びます。日和見的に、痛みやしびれの具合や感じるところも変わります。そのために、年のせいとか使い過ぎと思ってつい見過ごしてしまい、我慢する女性が多いのです。症状が進行すると、指の変形や関節の膨張など、元に戻らない病気になるケースがあります。

腱・腱鞘が腫れる → 【腱鞘炎】 → 【ばね指・ドケルバン病】

手根管内で正中神経を圧迫 → 【手根管症候群】

第2関節を慢性的に強く牽引して、関節軟骨が摩耗・関節の膨張 → 【ブシャール結節】

関節の膨張・関節軟骨の摩耗・関節の隙間の狭小 → 【へバーデン結節・母指CM関節症】

参考書籍 

著者名.平瀬雄一 手の外科・マイクロサージャリーセンター長「つらい手指のこわばり、しびれ。あきらめないで、予防と対策。」.「croissant No.1127 更年期からの女性の健康」.出版社マガジンハウス,出版2024年,P42~45

まとめ

ばね指や起床時の手のこわばり、親指が痛くて瓶の蓋を開けることができないなどの声を何度も耳にしました。そして、指の変形も・・・。手先は、日常動作でよく使いますから患者さんにとっては切実な問題です。鍼灸師としても手を尽くすわけですが、メノポハンドについて全く知識がありませんでした。あのとき、「更年期の症状の一つです。婦人科で相談に乗ってもらえますよ」と言ってあげられたらと思い、駆け出しの自分の経験のなさを悔やみます。骨や皮膚、血管などにあるエストロゲンの受容体は、手指の関節や腱の周囲にある滑膜にも非常に多いことがわかっています。滑膜が腫れると、腱や関節が動かしにくくなったり、腫れて炎症を起こしたり、神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こします。鍼灸治療としては、初期の治療として鍼灸で血行をよくすることと、徒手療法により手指をほぐします。今回は、メノポハンドについて記事にしましたが、腱や腱鞘、滑膜もすべて骨・関節を覆うファシアです。更年期との関係は、手指だけでしょうか? ある年代になるとみられる徴候は、五十肩や脊柱の症状も同じではないでしょうか。関節とその周囲に関わるトラブルに、これからは更年期の生体観も加えて患者さんに接していきたいと考えています。ファシアについて詳しくまとめたページもございます。ファシアとはの記事もぜひご覧ください。

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