Blogあん摩・アッサージ・指圧の違いとは

2024-12-26

  • 徒手療法
  • 東洋医学
あん摩・マッサージ・指圧の違いとは

こんにちは。兵庫県明石市にある二天堂魚住鍼灸院の宮上智志です。病院のリハビリ室や鍼灸整骨院で患者さんからよくある質問が、「あん摩、マッサージ、指圧」って何が違うのという問いです。今回は、国家資格「あん摩マッサージ指圧師」ついて記事にしますので、それぞれの施術の特徴と医療現場での業務について紹介します。

あん摩とは(按摩)

あん摩は、古代中国に生まれた。「按」は押さえる意味で「摩」はなでることを意味する。東洋医学における独特の病態生理の概念である。五臓六腑を正常に営ませるための経路を十四経脈といい、その流れの異常を疾病とした。それを自然哲学の考えからなるの補法(ほほう)では「摩」を、瀉法(しゃほう)では「按」を持って治療するというのがあん摩の原点である。このような技が、3世紀ごろに日本に渡来したとされている。しかし、明治以降は西洋医学が主流となり、解剖、生理をもとにした循環器系、運動器系、神経系への調整術式に改められ現在に至っている。

あん摩は原則的に薄い着衣の上から揉捏法(じゅうねつ)を主に遠心性(心臓より末梢に向かって)に行う。その作用は、筋肉の硬結(こうけつ)を取り除き、筋肉組織の血液循環を良くし、新陳代謝を盛んにする。

  • ※補法とは:正気を補う方法。不足する生理物質を補うこと
  • ※瀉法とは:邪気(余分なもの)を取る方法。過剰な生理物質や停滞を除く

マッサージとは

マッサージは、ヨーロッパで生まれた。マッサージという言葉自体は、フランス語である。しかし、その語源は、「圧する」というアラビア語「Mass」、「こねる」のギリシャ語「Sso」、「さする」というヘブライ語から由来するものと言われている。マッサージは直接皮膚に行う手技で、求心性(末梢から中枢へ)の刺激を加えることにより、血液やリンパの流れを促進し、筋肉の栄養を高め、持久力や弾力を高める。また、疲労を回復させ精神的リラクゼーションを与える。このように心身ともに調整する技術である。

マッサージは、皮膚に直接、軽擦法(けいさつ)、揉捏法(じゅうねつ)の手技を主に求心性(末梢より心臓に向かって)に行う。その作用は、血液やリンパの還流を盛んにする。

指圧とは

指圧は、中国の古代あん摩の「導引」(どういん)と、日本柔術の「かっぽう」とを合わせた治療法である。そして、明治時代にアメリカから輸入された整体術(カイロプラクティック・オステオパシー・スポンディロテラシー)などの手技を取り入れ、大正時代に体系化され、現在に至っている。原則的には体表の定められた部位を圧し、内臓、筋肉、神経の異常を調整する手技である。

指圧は、薄い着衣の上から体表の反応点に一点圧を遠心性(心臓より末梢に向かって)に加える。その作用は、圧反射機構により神経や筋肉の筋肉を調整する。

参考書籍 編者名.KATA実技指導員 発行者.松浦英世 「スポーツマッサージ」 発行所.KATA(関西運動器障害研究会)印刷所.株式会社きたがわぷりんと

当院が鍼灸施術に交える身体をほぐす手技についてまとめたページもございます。ソフトな手技の記事もぜひご覧ください。

あん摩マッサージ指圧師の仕事と健康保険

あん摩マッサージ指圧師は、国家資格です。 医療従事者として医療機関や介護施設に勤務できるほか、医師の同意のもと健康保険制度を適用した施術を行うことができます。

療養費の支給対象となる症状は、診断名によることなく、筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮等の症状が認められ、医療上あん摩・マッサージ・指圧の施術を必要とする場合に限られます。そのため医師の同意が必要です。また同意書の交付後もあん摩マッサージ指圧師が定期的に治療経過を報告することになっています。したがって、疲労回復や慰安目的などのマッサージは健康保険の対象となりません。

まとめ

あん摩アッサージ指圧師は医療関係者の間では、略して「あまし」と呼ばれることもあります。すごいですね。医療の現場で必要とされるいくつもの手技療法を、駆使して患者さんに施術することができる専門家です。私の印象としては、「あん摩」「マッサージ」「指圧」を複合して、患者さんの症状に合わせて調合しているイメージです。ですからそれぞれに定義されるものに多少の相違があっても、一体となって施術に生かされているようです。その他の記事でも触れましたが、鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師の仕事は、視覚障がい者が多く従事した歴史があります。盲目の方ならではの研ぎ澄まされた感覚が、患者さんの病態を捉えるのに力を発揮したことでしょう。あん摩マッサージ指圧師の養成機関は、視覚障がい者の職業訓練施設内にあったり、老舗の鍼灸専門学校にあります。専門学校では、健常者でも勉強ができますので、あん摩マッサージ指圧師とはり師、きゅう師、柔道整復師など、複数の資格を取得することが可能です。保険診療も疾病の診断名に関わらず、筋肉や関節に関わる症状で施術できるのでたくさんの患者さんの治療に貢献できます。また、介護保険法が定める「機能訓練指導員」として、利用者の日常生活機能の維持向上を目的とした施術をすることができます。

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