みなさんこんにちは、二天堂魚住鍼灸院の宮上智志です。今回は、「鍼灸の師匠」との出会いをテーマに記事を書きます。明石市に開業した今も週に一度は、神戸市の二天堂鍼灸院で施術助手をしながら中野保先生の技術を学んでいます。
治療家への最初のステップ
私がこの業界に入り、最初に勤務した鍼灸整骨院は基本的な施術に鍼灸治療を交えていました。そのおかげで他の院よりも圧倒的に多い鍼灸施術の経験を積むことができました。しかし、保険診療を頼りにして通ってくる患者がたくさん来ますから、施術にさける時間は限りがあります。治療家として治療効果を最大限に発揮する施術を考えるものですが、置鍼(ちしん)して身体の反応を導き出す大切な時間もとることができません。私の場合は、鍼灸整骨院での勤務を2年間限りと区切りをつけて、そこからは「鍼灸院」への道を進むことになります。
鍼灸師をあきらめるな!二天堂鍼灸院との出会い
最初は、自宅の一部を改装して「小さな鍼灸院」を開業しました。看板も手作りです。それと同時にはじめたのが、「ほのしん講座」での勉強です。神戸市東灘区にある二天堂鍼灸院が運営している鍼灸師のための講座です。その理由は、医院や鍼灸整骨院に通う患者さんからも選ばれる鍼灸院にならなければ、誰も私の治療院にやって来ないからです。実費治療で、一人一人をしっかり治療する鍼灸院を目指す必要がありました。以前から中野先生の本を精読し、現代医学にも通じる鍼灸治療の理念と実践方法に強い興味を抱いていました。実際に、講座で先生から教わる機会が用意されていることは、本当にありがたいことでした。
二天堂式の鍼灸施術理論
- Ⅰ.3つのエリア(a.体幹 b.四肢 c.頭部)
- Ⅱ.3つの神経枝(a.脊髄神経前枝 b.後枝 c.交感神経枝)
- Ⅲ.3つのフロントコア(a.斜角筋 b.大腰筋 c.梨状筋)
- Ⅳ.3つの生体反応(a.神経反射 b.内分泌反射 c.免疫反応)
- Ⅴ.3つのペイン(a.筋肉痛 b.神経痛 c.関節痛)
- Ⅵ.3つのターゲット(a.大腰筋 b.後頭下筋 c.夾脊(きょうせき))
参考書籍
著者名.中野保.「実用鍼灸治療学 鍼灸師のためのABC理論」.出版社たにぐち書店,出版2023年
弟子入りと共に開業へ
講座を終えても臨床での実践編など、教わりたいことはたくさんあります。そのまま研修生(弟子)として、先生から学ぶ機会を得ました。また、サラリーマンとして20年以上の社会経験もありました。薦めていただいたのを機に、自宅内の院をたたみ明石市に鍼灸院を開業しました。
11月10日(日)に、私の母校である関西医療学園専門学校、校友会の学術研修会の講師として中野先生が講演をしました。さすがに20年以上の臨床経験をもとに理論をまとめ、ほのしん講座でも教えていますからなめらかで筋道の通った弁舌が冴えました。実技では、参加者が先生を囲み、まじかに施術を見られたのでよかったと思います。
まとめ
当院は、二天堂鍼灸院をモデルに施術ベッドや器具も同じものを採用しています。それらは、すべて「二天堂式の鍼灸理論」を、実践するために欠かせない施設・設備です。基本治療は、「全身の調整作用を高め、元気を引き出す治療」です。3つのターゲットでは、大腰筋、後頭下筋、夾脊(きょうせき)などに響かせる深い鍼刺も行いますので、刺激も強いです。しかし、“強いから効く”ではなく“強い鍼をいかにやさしくできるか”を目標にしていますので、絶えず研鑽に励んでいます。「この1本の鍼をそこに打つ理由は?常に問いかけろ」、「地頭で考える」など、臨床で生かすべき大切な考え方も示してくれる師匠の存在は、常に追い風として働きますから前進あるのみです。また、月に一度は集まって互いに、鍼灸談義を交わす姉弟子、兄弟子にも大変お世話になっています。また、機会がありましたら今回のようなトピックス記事も書いていきたいと思います。