こんにちは。兵庫県明石市にある二天堂魚住鍼灸院の宮上智志です。今回は、頭痛について記事にします。頭痛には、筋緊張性頭痛、片頭痛、群発性頭痛など、頭痛そのものが痛みの原因である一次性頭痛と別の病気が原因で頭痛が起こる二次性頭痛があります。頭痛でお悩み患者さんの約9割が一次性頭痛と言われています。一次性頭痛は、鍼灸施術が適応する疾患です。
鍼灸施術が適応する頭痛
筋緊張性頭痛
主に頭蓋筋(前頭筋・側頭筋・後頭筋)や頚肩部(頭板状筋・僧帽筋・胸鎖乳突筋)の筋肉の持続性筋収縮により、循環障害や神経絞扼のために起こる頭痛です。
症状・・・非拍動性、両側性、持続性、頭部全体が重く締め付けられるような痛み
片頭痛
頭皮下の血管が拡張して頭痛が出現すると考えられています。(血管性頭痛)
症状・・・拍動性でズキンズキンとする痛み、反復性の慢性頭痛、多くは片側性、嘔気・嘔吐を伴い、食欲減退。前触れとして現れる症状に、閃輝暗点(せんきあんてん)がある。(突然視野の中にギザギザした光の波があらわれて、四方に拡がり、その部位が暗くはっきり見えなくなる現象)
群発性頭痛
群発頭痛は20~40代の男性に多く見られます。三叉神経・自律神経性頭痛に分類されています。ある時期に集中して起こることが多いと言われています。
症状・・・拍動性、片側性、発作性に片目の奥がえぐられるような激烈な疼痛。(眼周囲から前額部)結膜充血、鼻閉、鼻汁、流涙、発汗、眼瞼下垂(がんけんかすい)など。痛みは、10分程度から数時間、発作性に起こる。
鍼灸施術の方針
筋緊張性頭痛・・・頭部・後項部の筋緊張暖解、局所の血液循環改善、自律神経調整
片頭痛・・・頭部・頚肩部の自律神経調整、血管運動の安定化
神経性頭痛・・・疼痛緩解
- 大後頭神経への施術に用いる経穴・・・天柱・後頂・玉枕・百会・脳戸・脳空・強間など
- 小後頭神経への施術に用いる経穴・・・完骨・浮白・頭竅陰・天衝・率谷など
- 前頭前野への施術に用いる経穴・・・神庭・本神・眉衝・頭臨泣・曲差・目窓・顖会など
- 筋緊張性頭痛の施術に用いる経穴・・・天柱・風池・肩井・懸顱など
- 片頭痛の施術に用いる経穴・・・天柱・完骨・和髎・陽白など
- 群発性痛の施術に用いる経穴・・・阿是穴など
- 手足の要穴を用いた施術・・・神門・内関・合谷・足三里・解渓・太渓・三陰交
鍼灸施術が不適応な頭痛
頭痛が器質性によるものは原則的に鍼灸施術は不適応です。
- クモ膜下出血 ・・・バットで殴られたような激しい頭痛。悪心・嘔吐など。
- 脳出血・・・頭痛、嘔気・嘔吐。片麻痺など神経症状。意識障害など。
- 脳腫瘍・・・頭痛、嘔吐。徐々に症状が悪化など。
- 髄膜炎・・・発熱、頭痛。髄膜刺激症状(項部硬直・ ブルジンスキー徴候・ケルニッヒ徴候)
- 慢性硬膜下血腫・・・頭痛、嘔吐。片麻痺やしびれ、痙攣。言葉を上手く話せない。意欲低下など。
まとめ
鍼灸院に来られる患者さんは、頭痛で悩んでいる方も多いです。初診の問診では、特に詳しく症状について話を聞いていきます。一次性頭痛の場合は、鍼灸による施術が有効です。鍼灸治療は、漢方と同様に副作用の少ない治療法であることから、他の治療との併用や長期間の治療を継続することが可能という特徴があります。筋緊張の緩和にすばやく作用し、血管や神経の絞扼を改善することができます。興奮状態にある自律神経の調節にも有効に作用しますので、疼痛をコントロールする治療に有効にはたらきます。二次性頭痛には、頚椎症や顎関節症、副鼻腔炎も含まれますので、これらの原因がはっきりしている場合には適応疾患として鍼灸の施術を同時に行います。しかし、二次性頭痛には緊急を要する重大疾患も含まれているので注意が必要です。これまでに経験がないひどい頭痛、熱がある、手足の麻痺やしびれを伴うような場合はくも膜下出血などの脳出血や髄膜炎などの可能性もあり注意が必要です。 また、徐々に悪化してくるような場合や言葉のもつれなどが見られたら脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの可能性もあります。急いで脳神経外科を受診する必要があります。