こんにちは。兵庫県明石市にある二天堂魚住鍼灸院の宮上智志です。よく事前の問い合わせなどで、「マッサージで患部をほぐしたりしてくれますか」という問いがあります。今回は、当院が鍼灸施術とともに行っている患者さんの身体をほぐす手技について記事にします。
「ほぐす手技を交える」意味
鍼灸治療では、前柔法・後柔法(ぜんじゅう・こうじゅう)などの「ほぐす手技」を交えます。鍼灸施術に対する皮膚反応や出血を軽減する効果があります。その他にも術後の痛みや違和感を緩和する効果があり、治療による副作用を予防するためにも推奨されています。前柔法・後柔法について紹介したページもございます。鍼灸の施術の記事もぜひご覧ください。
参考書籍 編者名.公益社団法人東洋療法学校協会 著者名.教科書検討小委員会 「はりきゅう理論」 発行所,医道の日本社,出版2019年
「ほぐす手技」に取り入れている4つの要素
- トリートメント・・・筋肉疲労を起しやすい肩甲骨周囲を心地良い圧でほぐしていき、コリの解消と血液循環の改善を促します。
- リリース・・・ 筋膜の萎縮や癒着を改善して、筋肉の柔軟性を引き出し、関節の可動域を拡大します。
- モビライゼーション・・・関節の運動性を改善して痛みを取り除いたり、可動域を正常に近づけます。
- アジャストメント・・・背骨の周囲の組織を適度な圧でほぐすことで、傾きやズレの補正効果を促します。
ほぐす手技の上級編 「ほのしん講座」
- 側臥位(そくがい)・・・腕を下にして横向きで寝た状態のことです。
- 揉捏法(じゅうねつ)・・・母指揉捏は、親指のはらを使い、対象部位に対して垂直方向に圧力を加えながら、親指を前後に動かして筋肉をほぐします。 その他に、四指揉捏、把握揉捏、手根揉捏なども用いて、 頭、肩、腰など全身を施術します。
- 呼吸器症状・・・非常に呼吸が楽です。うつ伏せと違って鼻が詰まることも少ないです。
- 妊娠中の方・・・胸腹部を圧迫することなく施術します。妊娠中の肩こり、腰痛、つわりなどでお困りの方にも対応します。
まとめ
当院で行っている「ほぐす手技」は、鍼灸施術の効果を高めると同時に患者の身体反応を緩和する目的があります。したがって、「とてもやさしいソフトな手技」です。強いて言えば、脊柱起立筋を緩める目的で行う母指圧迫は、施術者の上半身の体重の乗せていますので、しっかりと圧を感じるでしょう。しかし、決して力まかせに「強押し」することはありません。脊柱の傾きやズレを補正して整合性を高めるために、必要な最低限の母指による圧迫です。ただ適当に硬い筋肉を揉むのと、4つの要素を意識して患者さんの身体のバランスを考えながら筋肉をほぐすのでは、まったく違います。
私は、二天堂鍼灸院主催ほのしん講座の「徒手療法講座」を受講しました。講師は、大阪しせい堂治療院院長の新井康成先生です。新井先生からは、鍼灸師が触診力を見磨くことの大切さと確かな技術に添える患者への気遣いについて教わりました。主に母指を使った揉捏(じゅうねつ)で、患部を触診しながら最適の圧でほぐしていきます。側臥位を基本に施術することのメリットも整理されているので、患者の反応を診ながら応用を利かすことも自在です。特に、うつ伏せの治療ができない妊娠中の方や産後の症状に力を発揮することができます。新井先生からは「鍼は指の延長」という助言をしていただきました。しっかり手の触診力を磨けば、目に見えない病の原因や症状を見つけ出し、とらえることができます。この技術が高いほどに、鍼灸施術もピンポイントに効かせる治療ができるということです。
本院は、神戸市の二天堂鍼灸院中野保先生の元で、しっかりと効かせる鍼灸施術の技術を学び、取り入れております。肩こり・腰痛はもちろん、不定愁訴(原因を特定できないカラダの不調)、身体に関するお悩みなんでもご相談ください。明石市において皆様に頼りにされる「かかりつけの鍼灸師」を目指して、日々研鑽に励んでおります。明石市で鍼灸院をお探しなら二天堂魚住鍼灸院へぜひお越しください。